私が所属する部署は、医薬品の臨床試験である治験に携わる部署です。どのような治験を行うかという計画の立案から、実際に治験を行うための手順書の作成や治験の運営、管理、モニタリング、そして治験後の報告書の作成などを行っています。医薬品に関する国の担当局であるPMDAへの承認申請を行うなど、医薬品開発における幅広い業務に携わります。
就職活動では研究開発職を軸にした上で、「自分の仕事が世の中に残る」という観点からメーカーを希望していました。医薬品業界の治験という仕事に興味を持ったのは、社内外のたくさんの人と関わり、コミュニケーションをベースにして進めていく仕事だと知ったからです。自分がイメージする社会人としての将来像と、治験の仕事とがマッチしました。興和には、治験の初期のフェーズから最終的なフェーズまで関われることや、計画の立案から承認申請まで幅広く携われることから入社を決めました。
入社後は抗血小板薬や高脂血症治療薬の開発を担当。治験の立ち上げを行うなど、入社前にイメージしていた通りの仕事に携わりました。転機の1つとなったのは、入社11年目に高脂血症治療薬のプロジェクトリーダーになったことです。
治験には、狙っていた結果以外にも、開発の新たな可能性と出会えるチャンスがあります。そこでプロジェクトでは、開発中の化合物が持つ性質や市場のニーズなどを踏まえて、化合物の可能性を最大化できる治験を計画します。研究者をはじめとしたプロジェクトメンバーの意見を受け止め、調整しながら計画を取りまとめるのがリーダーの役割でした。
メンバーにはそれぞれの思いや事情があります。リーダーである私が意見を押しつけていては、プロジェクトは前に進みません。個々にしっかりとコミュニケーションをとりながら、その上で私の思いを伝えるようにしました。また、メンバーが専門性を発揮し、それらが組み合わさったチームづくりを心掛けました。この時の経験を通して、改めて治験はコミュニケーションに基づく仕事だと実感しました。
2021年からは、部下5人を率いる課長として勤務しています。メンバーは若手中心で、彼ら・彼女らを育てることが私の大きなミッションです。心掛けているのは、まずは自分で考えるように促すことです。もちろん常に寄り添って相談に乗ったりはしますが、最初から答えを提示していては成長が期待できません。考えて、ときには悩んで、試行錯誤する経験こそが成長を加速させてくれると信じて、いつもそばで見守るようにしています。一方で、期日は守らないといけないですし、トラブルは回避しなければいけません。若手に任せつつ、チームとしての結果を残すための舵取りは、今も悩ましいところです。そんな時に相談に乗ってくれ、方向性を示してくれる部長は私にとって大きな安心感を与えてくださる存在です。
部下たちも他部署のチームメンバーも、みんなそれぞれに強みを持っています。それらを各自が活かしながら、1つの仕事が終わった時にみんなで「お疲れ様でした」と言えることが、私にとっての一番の喜びです。同様に私も、私なりの強みを生かして、関わる人たちにいい影響を与えていきたいです。私は、レスポンスの早さや、分からないことを素直に分からないと聞くところに強みがあると自己分析しています。みんなに力を発揮してもらい、プロジェクトをスムーズに進める環境作りが得意なのかもしれません。「あの人と一緒に仕事をするとスムーズだ。得られるものがある」と言ってもらえるよう、私自身の価値を高めていきたいです。
部署のメンバーとも飲み会や食事会をしています。お互いに職場とは違った表情を知ることができ、より良い関係作りに役立つのがこれらの場。仕事である以上、大変な場面にも遭遇します。だからこそ人間関係は円滑で、楽しい職場であってほしいと考えています。飲み会や食事会は、その一翼を担ってくれています。
元々、おいしいものを食べて、おしゃべりすることが大好きな私。ですので、一緒に飲み会や食事会をする相手は職場の人や他社の仕事仲間に限らず、休日も友人など様々な人に会っておしゃべりを楽しんでいます。食べて、飲んで、しゃべってという時間は、やはり相手をもっと知ることができる豊かな時間であると感じています。
所属部署や掲載内容につきましては取材当時のものです。