私が所属する化学素材部は、化学に関わるあらゆる製品を取り扱っています。その中でも私の所属する部署では医薬品や化粧品、健康食品の原料として用いられるファインケミカル製品を扱う部署です。国内のお客様が求める素材を海外で探してきたり、逆に国内の素材メーカーが海外に販路を拡大するお手伝いなどを行っています。そういった商社としての仕事のほかに私は、薬剤師資格を活かして「管理薬剤師」という仕事も担当しています。これは、医薬品原料が適正に管理された製造所で製造・輸入されたかを保証し、品質を担保する仕事です。製造所や国内製薬企業様との品質取決め書締結、輸入倉庫の点検、行政対応、社内の教育訓練など管理薬剤師の業務は多岐にわたります。これらの業務は薬学の知識のみならず、一般的な科学知識も必要となってきます。
現在、力を入れて取り組んでいるのが植物性コラーゲンブースターです。日本でも広く使われているコラーゲンは、動物由来です。植物性コラーゲンブースターは動物由来のコラーゲンに劣らない効果があるため、コラーゲン代替製品になりえる製品です。原料となる植物は水と光と土壌だけあれば確保できるため、環境への配慮などサステナブルという観点からもメリットがあります。私の部署が取り扱う植物性コラーゲンブースターの原料は植物本体そのものを刈り取って採取するのではなく、繰り返し再生する花びらを原料に使用しています。そのため、動物の命はもちろんのこと、植物の命さえ奪わない点が特色といえます。多様化するニーズに応え新たな選択肢となり得る素材を、世の中に送り出したいと考えています。この目標に向けて私は、誰に、どのようにアプローチするかという事業の戦略立案から携わっています。
入社3年目には、一人でスペインへ出張するという経験をしました。このときの役割は、取引先を展示会へ案内することに加えて、事業パートナーになりえる海外企業を開拓すること。商習慣が異なるうえに面識のない企業に対して面談の機会を設けること自体に苦戦しましたが、最終的には二十数社との面談を実現。「やればできる」という大きな自信を得ることができました。
このように当社には、「若手にはまずはやらせてみる」という社風があります。私自身もこのときの挑戦をきっかけにして海外出張の機会が増えていき、スイスで植物性コラーゲンブースターと出会うことにつながりました。
商社のビジネスは、商材では差別化を図りにくいという側面もあります。だからこそ私は、「どうせなら田中から買いたい」と言われる人になりたいです。相手のニーズや仕事スタイルを読み取り、どうすれば相手の懐に入り込むことができるかを考え続けていきたいです。
同一の会社がときには顧客になり、ときにはサプライヤーになるのが化学素材部の仕事の特色。興和社内の医薬事業部も顧客やサプライヤーになり得る。
ノープランで海外を訪れた際は、いかにして自分に興味を持ってもらうかが現地を快適で楽しく旅するためのカギでした。その経験は商談にも活きています。外国の方と交流することで得られる、思考や行動の背景にある文化・習慣への理解は、交渉をスムーズに進め信頼関係を構築するための大きな財産になっています。
学生時代から、往復の飛行機チケットだけを持ってノープランで海外を旅していました。そのとき出会った人との交流は今も続いています。また、仕事で出会った人とはビジネスを離れても交流する仲に。互いの国を案内したり文化に触れたりすることで、知見を広めることができています。趣味の写真撮影も、海外の友人に協力してもらうことが多いです。
所属部署や掲載内容につきましては取材当時のものです。