就職活動では、職種をMRに絞って企業選びをしました。学生時代から海外が好きで、旅行で東南アジアを何度か訪れていました。そのような経験から、海外語学研修制度がある興和に興味を持ちました。他の医薬品メーカーとは違う、事業の多彩さも魅力的でした。
入社後はMRとして医薬事業部に配属。東京の多摩地区の病院を担当しました。憧れていた仕事に就くことができてやりがいも大きかったのですが、次第に、もうひとつの興味である語学や海外への思いも大きくなっていきました。そこでキャリアチェンジを決意し、第一歩目として海外語学研修に応募。タイへ派遣され、1年間タイ語を勉強しました。
帰国後は海外と取引のある部署として、光学事業部門である興和オプトロニクスに配属。産業用レンズをはじめとした、機械などの海外向け営業を担当しました。商品知識はもちろんのこと、英語でのビジネス文章の書き方や輸出入の手続きなど、海外とビジネスをするための基礎的な知識を学ぶことができました。
そして2021年からは、現職である興和江守タイランドに出向。現地駐在員として、日本と諸外国間での輸出入貿易を行うほか、興和オプトロニクス製品の輸入販売に携わっています。
所属する興和江守タイランドの日本人スタッフは5人。現地事情に精通したタイ人スタッフ30人と合せて、35人でタイ国内すべてのビジネスを受け持ちます。上司や先輩、同僚、そして他部門のメンバーと連携してビジネスを進める日本での仕事に比べると、必然的に一人あたりが受け持つ仕事の幅は広がります。その結果、自ら考え、自ら判断するという力は非常に磨かれました。為替の変動など、ビジネスに影響を与える外部環境の変化にも敏感になり、リスク回避をする力が養われました。
多様な価値観を受け入れる力や、異なるバックボーンを持つ人と協業する力も、タイで養われました。タイ人は日本人よりも随分とマイペースだと感じています。「あうんの呼吸」で察するという文化ではなく、伝えたいことを詳細に丁寧に伝えないと、こちらの思いを正しく伝えられないことがあります。こういった状況を受け入れ、尊重したうえで、ゴールを共有してともに歩んでいくのです。もちろん、簡単なことではありません。簡単ではないからこそ、現地スタッフと協力して成果を上げ、喜びを共有できるときの嬉しさは一層大きくなります。
これから先も、ずっと海外と関わる仕事をしたいです。もちろん、ライフステージの変化などによっては、難しい場面もあるかもしれません。女性は特にそうだと思います。でも、決して無理なことではないとも思っています。というのも、タイでは、女性が数多く活躍しているからです。興和江守タイランドの30人の現地スタッフのうち、実に29人が女性です。得意先でも、商談相手はほぼ女性。彼女たちが笑顔で生き生きと働く姿を見ると、「私もやれるはず」と思えてくるのです。
私がタイに赴任したときはコロナ禍によるロックダウンの影響で、テレワークを余儀なくされました。心細さや不安を抱えている私に対して、タイ人のスタッフや得意先の方はとても優しく接してくれました。タイには、感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、タイの役に立つことがしたいと思っています。興和をはじめ、タイには多くの日本企業が進出しています。欧米の企業も同様です。その一方で、タイの自国産業が育っているかというと、まだまだ発展途上です。恩返しをする意味でも、タイならではのビジネスを立ち上げ、国の発展に貢献したいと考えています。
休日の街歩きのなかでは、「面白い」「不思議だな」といった様々な気付きを得られます。それがきっかけになり、ビジネスにつながることもあります。料理やタイならではの風習の話題は、スタッフとコミュニケーションを深めるための格好の材料になっています。
休日は趣味の運動をしたり、タイ語の勉強をしたり・・・と過ごしています。楽しみは、街歩きをして珍しいローカル料理を食べること。スキューバダイビングに行くこともあって、いまだに海外旅行気分でタイの魅力を満喫しています。
所属部署や掲載内容につきましては取材当時のものです。